台灣Mobile生活

HTC和台灣生活的筆記

日本仕様を施さず登場したHTC10。iPhone的売り方は成功なるか。

f:id:master-mercy:20160420120102j:plain

先日auより発表され、6月中に発売予定となっている日本版HTC 10(HTV32)ですが、日本仕様を施していない状態でリリースされることになり、各方面で話題になっているようです。

本稿では、日本仕様を省いたメリット・デメリット、成功するか否か考察してみたいと思います。

 

日本仕様が搭載されてきた背景

日本のAndroidスマートフォンには、赤外線通信・ワンセグ(フルセグ)・FeliCa・防水などの機能が搭載されてきました。

HTCがau向けにリリースした機種の場合は、EVO WiMAX(ISW11HT)、EVO 3D(ISW12HT)の初期二機種に関してはほぼ、日本仕様なしのグローバルモデル同等の端末を導入してきました。

f:id:master-mercy:20160603113020p:plain

この頃、iPhone(Softbank独占時代)に他社が対抗する方法として、iPhoneにはない機能をAndroidに搭載することで、iPhone以上の魅力を出そうとしていました。

結果、ガラケーからも乗り換えやすいように、キャリアメールが使えたり、赤外線が使えたりして、スマートフォンへの移行がし易くなったと思います。

当時の状況を考えると、この施策は十分理にかなっていたと思いますし、実際に成功したのだと思います。

逆に日本機能を持たないAndroid端末は、人気を十分に得られなかったものも多くありました。

HTCの場合も同じで、EVOシリーズ、SoftbankのDesireシリーズは海外版と同等の仕様だったので、十分には売れなかったし、投げ売りの憂き目に遭ったこともありました。

HTCが方向転換を図ったのは、HTC J(ISW13HT)からで、赤外線・ワンセグ・おサイフケータイ・防水(非公式)を搭載してきました。

デザインも専用設計で、CMも乃木坂46を起用して、日本とauに可能な限りの媚びを売った端末でした。

f:id:master-mercy:20160603113407j:plain

結果、売り上げでは成功して、HTCの知名度を大幅に上げることに貢献しました。

続くHTC J Butterfly(HTL21)では、さらなる力の入りようで、FullHDに2GBRAM、ワンセグ、防水などなんでも全部入り、それでいて薄くて軽いモンスター端末を投入してきました。

日本のHTCの歴史上最も売れた端末であろうと思いますし、それに相応しい素晴らしい端末でした。

以降の端末も、多かれ少なかれ日本ローカライズした端末を投入してきています。

Zenfone5の登場

風向きが変わったのは、格安スマホ、特にASUSのZenfone5の登場が大きかったと思います。

f:id:master-mercy:20160603113533p:plain

Zenfone5では、日本機能は一切搭載せず、その分付加価値としての価格の安さがありました。

それまでは、iPhoneに対抗するためには、iPhoneにない機能をつけてきたAndroid陣営ですが、Zenfone5以降、iPhoneと同じように日本機能がなくても「格安」という付加価値があれば対抗できるという考え方になってきたのだと思います。

結局のところiPhoneが日本機能がないのに売れているのは、ブランド力とデザイン性、端末の使いやすさと分かり易さがある故で、日本機能がないデメリットを上回るメリットを感じられるからだと思います。

そういった意味では、Zenfone5がもたらした、「デメリットを格安というメリットで相殺する」ことができたのは、大きな功績だと思います。

当然、世間の風潮として、キャリアメールの存在意義が薄れたり、SNSが浸透したこと、SIMカードを自由に選べるようになってきたことなど、環境の変化も非常に大きな要因になっていると思います。

HTCにとってみれば、この数年はauとの独占契約状態だったわけで、キャリアの要求に応えるしかなかったのかなとも思えます。

しかし、昨秋に実質初となるSIMロックフリー端末、Desire626・DesireEYEをリリースしたことが転機になったように思えます。

f:id:master-mercy:20151019235701j:plain

これら二機種は日本ローカライズされていないモデルですが、市場に一定の割合で受け入れられたからです。

日本のユーザーが本当に欲しいと思っている端末は、数年前の事情とは異なってきているという実感を得られたんじゃないでしょうか。

とりわけここ数年は、日本ローカライズされたモデルのデメリットも浮き彫りになってきていて、最も顕著なのは、OSのアップデートが打ち切りになるというものでした。

日本機能が付加されることで、国際版の端末よりもアップデートが確実に遅れるし、結局はアップデートがほとんどされずに打ち切りになる端末も多くあります。

それを考えると、日本機能を省いた場合でも、デメリットよりもメリットのほうが大きくなりつつあるという状況も存在しています。

au版HTC10(HTV32)に対する期待

そんな中で、グローバル仕様でリリースされるau版HTC 10(HTV32)ですが、日本機能がないデメリットを補って余りある魅力的な端末になっています。

これまで、iPhoneだけに許されてきた(受け入れられてきた)この売り方を、HTCがまず先行して行ったのはある意味誇らしい感じさえあります。

「ガラパゴススマートフォンなんか使ってないで、世界基準の本当のスマートフォンを使え」とでも言っているような、強気なHTCを感じるのです。

そんな強気が惨敗したら笑えないですが(笑)、今回はなんとなく成功するように感じます。

価格面でも、auの他の日本仕様を施しているフラッグシップモデルよりも安くなっていますし、OSのアップデートも期待できると思います。

AppleのiPhoneに唯一対抗できるのは、HTCだけだと信じているので、今度ばかりは頑張ってほしいものです。

 

【あわせて読みたい】

htc.hatenablog.com